㈱チューリップ企画の販売するアニメビデオ『世界の光・親鸞聖人』について、㈱チューリップ企画と田中一憲氏の論戦の記録を公開しています。

アニメ「体失・不体失往生の諍論」

アニメ映画世界の光・親鸞聖人』第2部より
『体失・不体失往生の諍論』
ナレーター「そして、親鸞聖人、三十四歳の御時のことである」

僧侶A 「皆さん、よくご参詣になられました。法然上人様は、お風邪をめされて、今日はおやすみになられます。そこで、代わって、善恵房証空様に、説法をお願い致しました」

新弟子 「何だ、法然様じゃないのか」

親鸞聖人「何を言われる。説かれる仏法が尊いのだから、心して聞かねばなりません」

新弟子 「はい。分かりました」

善恵房 「皆さん、釈尊が、この世にお生まれになったのは、阿弥陀如来の本願一つを説かれる為でした。どんな人でも、念仏さえ称えれば、死ねば必ず極楽浄土に連れていく、という、有り難いお約束です」

老婆  「有り難いことじゃ。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

善恵房 「その阿弥陀如来が・・・」

親鸞聖人「お待ちください」

善恵房 「何でしょうか。親鸞殿」

親鸞聖人「今のお言葉、親鸞、少々、腑に落ちません」

善恵房 「何か、気にさわられたことでも」

親鸞聖人「先程、貴僧(あなた)は、阿弥陀如来の本願は死んだら助けるお約束、と言われたようですが」

善恵房 「ああ、それが、どうかしましたか」

親鸞聖人「親鸞は、只今、救い給うた本願を、喜んでおります」

善恵房 「何を言われる親鸞殿。今、救われたとな、そなたは。この世で、救われた、ということがありましょうか。この世は、どうにもならんもんじゃありませんか」

親鸞聖人「この世さえ、どうにもならぬ者が、死んで、どうなれましょうか。今、溺れて、苦しんでいる者に、土左衛門になったら助ける、という人がありましょうか。今、腹痛(はらいた)で苦しんでいる者に、死んだら治す、という医者もないでしょう」

僧侶A 「まあまあ親鸞殿。ここは皆さんも、おられることだし、またのちほど・・・」

親鸞聖人「いいえ、釈尊ご出世の、御本懐の中の御本懐である阿弥陀如来の本願のことです。皆さんにも、ハッキリと知って頂かねばなりません」

善恵房 「親鸞殿、いくらあなたが、もっともらしい事を申されても、経典にないことでは、仏教ではありません。お経のどこに、この世で救われるという根拠がありましょうか」

親鸞聖人「勿論、ございます。阿弥陀如来の本願に、『若不生者 不取正覚』とあります。必ず生まれさせる、と誓っておられるではありませんか」

善恵房 「ハーッハッハッハッ。親鸞殿。それこそ、死んだら助ける、ということではありませんか。死なねば、生まれることはできませんからね。やはり、死んだら極楽へ生まれさせる、というお約束ではありませんか」

僧侶A 「なるほど、善恵房殿の言われる通りですな」

二人  「ハーッハッハッハッ」

親鸞聖人「善恵房殿、誤りはそこです。あなたの誤りは、実にそこにあるのです」

善恵房 「なっ、何ですと」

親鸞聖人「死ぬとか、生まれるとかは、肉体のことだけではありますまい。肉体は、死ねば焼いて滅びるもの。肉体よりも、心を重く見るのが、仏法ではありませんか。阿弥陀如来は、私たちの暗い心を、明るい心に生まれさせると、誓っておられるのです。これが、弥陀の本願ではありませんか」

老婆  「心を生まれさせる・・・?」

親鸞聖人「そうです。心をです。何の為に生まれてきたのか。何の為に生きるのか。何故、生きねばならないのか、分からないでしょう。後生暗い魂を抱えて、生きてはいませんか」

老婆  「うーん、そうじゃな」

親鸞聖人「私たちの、その後生暗い心を、大安心にして下さるのが、弥陀の本願です」

参詣者A「あ、法然上人さまだ」
僧侶B「あ、お師匠さまだ」

法然上人「そうだ。親鸞の言う通りじゃ」

法然上人「この法然も、只今救われたことを喜んでいる。今、救われずして、どうして、未来助かるだろうか」

法然上人「よいかな。皆さんも、よくお聞きなされ。ここは、間違いやすいところです。阿弥陀如来の本願は、この世から、未来永劫、助け給うお約束。誤ってはなりませんぞ」
一同  「ははーっ」

善恵房 「・・・・・・」

ナレーター「のちに、浄土宗を開いたほどの、善恵房証空も、そのあやまちを、この時、聖人に、徹底的に打ち破られたのであった。これは、今日、親鸞聖人の三大諍論の一つとして、『体失・不体失往生の諍論』と、伝えられている」

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玉日姫 「先程のこと、私も聞き誤っておりました。私が叱られているようでした」

親鸞聖人 「『邪を破り、真実を明らかにせぬ者は、仏弟子ではない』と、お釈迦様は、ご遺言なされている。親鸞、決して、争いたくはないのだが、阿弥陀如来の正しいみ心を明らかにしようとすれば、衝突は避けられないのだ」

玉日姫 「先程のことで、皆様からの風当たりが強くなりはしないかと、心配でございます」

親鸞聖人「いずれの時、いずれの所でも、真実を明らかにすれば、必ず、非難が起きるものなのだ。かの大聖釈迦牟尼世尊にさえ、命をねらう提婆が現れたではないか」

親鸞聖人「阿弥陀如来の広大なご恩徳を思えば、身を粉にしても足らない。ことは、後生の一大事だからな」